Masuk 「
王都サンディーに滞在する勇者たちがちょっとした事件を解決したり、ゆるい日常風景を淡々と流す、至って普遍的なファンタジー小説。
とはいっても、別に書籍化されて大々的に人気が出ているような作品ではない。あくまでも、小説投稿サイトの片隅にポツンと掲載されているだけの存在である。PVだって半年間書いてようやく100を超えた程度だ。たまにいいねを押してくれる物好きが神様に見えてくる。
けど、それでいい。これはあくまで、僕にとって平穏すぎる日常を非凡へと昇華するための自己満足なのだから。
作者は、僕。
私立“
成績も大体中間を維持しているだけ、部活も帰宅部。自分で言うのもなんだけど、本当に地味で目立たない存在。別にそれに対して不平不満を垂れ流すつもりもないけど。
そんなうちのクラスには、学校内外にも知れ渡っている四人のカリスマ生徒がいる。最早名物みたいな存在と言っても過言ではない。
僕が彼らをモデルにファンタジー小説を書いているということは先ほど話した通りだ。というか、何ならこのクラス全体を小説の舞台にしてしまっている。その結果生み出されたのが勇者日常譚だ。
で、その物語に登場する四人の勇者パーティというのが、
「あーあ、俺らもう三年だぜ。そろそろ彼女とか欲しーなー」
そう恥ずかしげもなく大声を張り上げるのは、前守剣くん。
背も高く、筋肉質な彼はアメフト部のクォーターバックとして活躍している。彼のおかげでうちの学校はいくつもの試合を勝ち進んでいる、根っからのスポーツマンだ。ま、反面勉強のほうは僕よりも順位が下なんだけど、そこでマウントを取るのは止めておこう。
そんな彼は、勇者日常譚において剣士の「ルギー」として勝手にモデルにさせてもらっている。
性格は彼と同じくおおらか。だが、魔物との戦闘になれば真っ先に前に出て圧倒的な力で敵を倒す、まさに“前衛”として活躍する男。いつも「彼女欲しい」とボヤく様も全く同じように描かせてもらっている。
「前守くんはもっと静かにしていたらモテますよぉ。まぁ、黙っていればの話ですけどぉ」
柔らかな声で軽い毒舌を放つのは、宗田涼香さん。
所謂ゆるふわ系なウェーブの掛かった髪と、ほんわかした雰囲気の彼女。性格は天然気質でクラスの癒やし系的な存在だが、時折毒舌も放つ。手芸部であり、保健委員でもある彼女は学校一の「お母さんにしたい女子ナンバー1」だ。
そんな彼女を、僕は勝手に勇者日常譚の僧侶「ロッカ」のモデルにさせてもらっている。
癒やし系な彼女にふさわしく、回復魔法に長けている。それだけでなく、精神的に作用する魔法攻撃などもこなす。まさに僧侶という職業がピッタリだ。普段から人助けが趣味な彼女の行いのおかげでストーリーが進みやすくてこちらとしても助かっている。
「宗田さん、甘やかさないの! 全く……これだから男ってのは……」
対照的に厳しめな口調で言い放つのは、須磨法子さん。
学年一の秀才であり、弁論大会、小論文コンクールと文才においても秀でている彼女。見た目も生真面目そうな眼鏡を掛けていて、髪も染めた気配のない黒色。文芸部所属と聞いているけど、部活内では実際どんなことをしているのかは僕は知らない。
そんな彼女は、勇者日常譚の中で魔法使いの「リコ」のモデルにさせてもらっている。
国の中でも随一の魔法使いであり、魔法学園のトップ。当然攻撃魔法が得意であり、また様々な魔導書を集めたり、時には自分自身で書き上げることもある。国が誇るエリートとはまさに彼女のことだと言っても過言ではない。
「ははは、いいじゃないか。僕も剣の気持ちは分かるよ」
「うっせぇッ! お前、こないだも女子から告白されてんだろッ!」
「あぁ、あれは……断った。よく知らない子だったし」
「えっ……それって本当なの!?」
「うん、本当」
とんでもなくけしからんことをあっけらかんと言い放つのは、このクラスが誇るカリスマ生徒。
そして、勇者「ディオ」のモデルとなっている人物――
夕島英雄くんである。
中性的な整った顔立ち、朗らかな性格。前守くんには劣るもののスポーツも万能、須磨さんの次の次くらいには順位が高い成績。その上クラス委員。非の打ち所がないとは彼のことを言うのだろう。当然女子からもモテる。
彼がいなければ勇者日常譚などという話は生まれなかった。
というのも、彼の行動をなんとなく見ていたら、なんとなく思いついてしまい、気がついたら話を書き始めていたというのがそもそものスタートだ。
そんな流れで生まれた物語の主人公、勇者ディオ。夕島英雄くんと全く同じく、高いステータスを誇る、世界を救う勇者。まだ魔王は倒していないが、どういうわけか長いこと王都サンディーに留まっている。
勇者日常譚というのは、そんな彼らがこの国で織りなす物語だ。
一年の頃から何故かつるんでいる四人。分野はバラバラだけど、カリスマ性の高い四人は本当に仲が良い。見ていても飽きない。だからこそ、僕はこの話を書き始めた。
ちなみにサンディーという地名は勿論、三年D組から取っている。書き始めたのは二年の頃だけど、この学校はよほどのことがなければ三年間クラス替えも先生が替わることもないからこの名前にした。語呂も良いし、いずれは三年になるからこれでいいや、と適当に決めてしまった。
彼らだけではなく、このクラスの生徒たちをモデルにしたキャラはちょくちょく出てきている。今のところはほとんど脇役なんだけどね。
「そろそろ時間よ。席に着きなさい」
須磨さんが諭すと、「えー」と前守くんが苦い顔をしながら席から離れた。
いつになく皆が行儀良く着席すると、ガラガラと教室の戸が開いた。
「お、随分と礼儀正しく座っているな。感心、感心。新学期から幸先良いな」
凜とした声で教卓に現れたのは、
シワのないスーツを着こなして、長い髪をたなびかせている女性。つり上げた目は厳格な雰囲気を思わせるけど、誰よりも優しいところがあることを皆理解している。
三年間、僕たちの担任として教鞭を振るってきてくれた、恩師というべき存在だ。
もう分かっていると思うけど、勇者日常譚に出てきた女王「マリア」のモデルでもある。
「起立、礼、着席」
夕島くんが号令を掛けて、僕たちは言われるがままに立ち上がって一礼して、また着席した。もう彼がそういう役目を担っているということは、僕たちの中で違和感なく刻み込まれている。
「久しぶりだな、みんな。春休みは楽しかったか? 今日からお前らは三年生になる。いいか、今年は泣いても笑っても、高校生活最後の年だ。しかも受験やらなんやらが控えている。思い残すことのないように、精一杯過ごしていくんだぞ!」
流石先生。力強い言葉だ。
これも勇者日常譚の台詞に生かせられないものか、と僕はメモを取ることにした。
「つっても、今更うちのクラスでやり残したことってないよなぁ」
「だよなぁ、メンバーも変わっていないし、ほとんど去年とやること一緒なんじゃねぇの?」
「ほほう」先生は腕を組んで鼻を鳴らし、「どうやら刺激が足りんようだな」
「あ、いえ。そういう話では……」
クラス中にどっと笑いが沸き起こる。
けど、確かにそうかも知れない。三年間クラス替えがないというのは、思った以上に退屈なものだ。勢い余って書き始めた勇者日常譚だけど、ネタがなさすぎると話が詰まってしまう。現に今こうして更新が止まっている状況だし。
何か面白そうなネタがあればいいけど――
「安心しろ。そんなお前たちに、ちょいと刺激を与えてやろう。勿論、いい意味でな」
「刺激? というと……」
「このクラスに、もう一人新しいメンバーが加わることになった。つまりは転入生、ってことだ」
一斉にクラス中にどよめきが沸き起こった。
「おおおおおおおおおッ!」
「そいつは楽しみだぜ!」
「男子ですか? 女子ですか?」
「女子だ。とりあえず入ってこい」
妃先生が外へ呼びかけると、教室の戸が静かに音を立てて開いた。
「失礼します」
礼儀正しく改まった口調で、端正な歩き方で教壇の前まで進んでいく少女。
だけど、顔を挙げた途端、彼女の明るい笑顔がクラス中を照らした。
「転校生の
「姫川聖羅です。皆さん、よろしくお願いします」
深々と会釈をする彼女を見るや否や、クラスの皆が
「よっしゃあああああああああああああああああああああああああッ!」
「メッチャかわええええええええええええええええッ!」
主に男子が大声を挙げて歓喜した。
確かに可愛いとは思う。桃色のふわりとした髪色に、茶色いカチューシャ。礼儀正しそうな佇まいが育ちの良さを漂わせている。今までうちの学校にはここまでの子はなかなかいなかったんじゃないか? ぐらいには思ってしまう。
とはいえ、僕がここから考えることは他のクラスメイトたちとは全く違う方向になる。
――彼女をどうやって勇者日常譚に出そうか?
折角の転校生だし、それなりに特別な存在として出したいところではあるが、そこから勇者パーティとどう絡ませるべきか。悩みどころは多い。
さて、どうしたもんか……
「あれ? 君は今朝の……」
「あっ、貴方は……」
――ん?
なんだか学園ものであまりにもベタすぎる台詞が聞こえてきたぞ。っていうか、この流れって……
「おや、なんだ? 夕島と知り合いなのか?」
「あ、はい。今朝ちょっと……」
「私の自転車のチェーンが外れていたところを、彼に助けてもらったんです」
「そうかそうか。良いことするじゃないか、夕島」
「いえいえ、そんな……」
なんだか夕島くんと姫川さんだけの世界になってしまった。あとそこに先生が加わっているぐらいで。
これは、何て言うか……
――この後の展開、決まってしまったな。
カラオケも一段落して、時刻は夜の八時に差し掛かっていた。健全な高校生なら流石に家に帰らなければならない時間だ。そろそろお開きにしよう、と先生が言い出して、ようやく時刻に気がついた。「えー、それでは、縁も投げ縄ではございますが……」 個室の中で、前守くんがマイクを手にしてこの場を締めようとしていた。「ベタなギャグやらなくていいの。肝心なところで締まらないんだから」「あはは、このやり取りも毎回だよねぇ」「ま、こんなクラスだけどこれからもよろしくな、姫川さん」 マイク越しのせいで、普段野太い前守くんの声が余計に強く響き渡っている。 結局、僕は二曲ぐらいしか歌わなかった。それも、なんとなく知っているレベルの無難なJPOP。一応アニメの主題歌ではあるし、知名度は高い曲だ。ま、僕が歌っている間、みんな大した反応はしなかったんだけどね。それでもいいか、歌うのは嫌いじゃないし。 そんなこんなで、この珍妙な会が終わろうとしていた。「それじゃあ、最後に姫川さんから一言ぉ」 何故かしゃしゃり出てきた宗田さんが、姫川さんにマイクを手渡した。「え、えっと……今日はありがとうございました。色々とご迷惑をお掛けしますが、今後ともよろしくお願いします」 姫川さんは困惑した様子で、かなり普通の挨拶をした。 僕たちは上着を羽織り、鞄を持って外へ出て行った。「みんなからお金は貰ったから、僕がお会計しておくね」 率先して夕島くんがカウンターへ向かっていくのを確認すると、僕たちは一足先に表へ出て行った。 四月とはいえ、夜になれば外はまだ肌寒い。 僕はかじかんだ手を温めながら、他の皆と一緒に夕島くんが出てくるのを待っていた。「それで、姫川さん。どうよ?」 唐突に前守くんが姫川さんに声を掛けた。「どうって、何が?」「夕島の奴、いい男だろ?」「はぁ……まぁ、優しい人、だと思います」 当然、彼女は困惑気味だ。 さっきもそうだし、なんなら今日の会自体もそうなんだけどさ、前守くんって本当に姫川さんを困惑しかさせていないよね? 夕島くんとくっつけたいのも理解できるんだけど、やり方が無理矢理すぎる。「ううん……失敗だったか? いや、まだチャンスはあるか。でも、夕島の気持ちもアレだしなぁ……あぁ、クソっ! もどかしい!」「なにブツクサと独り言しゃべってんの」 寒空の
謔ェ蠖ケ莉、螫「縺」縺ヲ險闡峨�縺ゅ¥縺セ縺ァ繧ょ卸菴懊☆繧句�縺御スソ縺�ィ闡峨〒縺ゅ▲縺ヲ縲√ヵ繧。繝ウ繧ソ繧ク繝シ荳也阜縺ョ荳ュ縺ァ蜃コ縺ヲ縺阪◆繧牙℡縺�ク崎�辟カ「あら、ひっさしぶりー」 盛り上がっている勇者パーティのテーブルに、見知らぬ女が話しかけてきた。「貴方は……」「この国の姫になったんだってぇ? 女王様の養子になったって聞いたけど。アンタみたいな弱小貴族の小娘が、随分と出世したもんねぇ」「ひ、人違いです……」「うっそぉ、貴方、セーラじゃん。あ、ここではセーラ姫って言わなきゃダメだっけ」 嫌みったらしく、そして同席の面々にわざと聞こえるように言ってきた。「おい、アンタ」ルギーが睨みながら席を立った。「顔見知りか知らんが、そんな悪口を言いに来ただけならとっとと向こうへ行ってくれ。酒がマズくなる」「あら、ごめんあそばせ。それじゃあ失礼」 手を振りながら、にこやかに彼女は去って行った。 皆が姫の方を見つめる。彼女は唇を噛みしめて俯いたまま、小刻みに震えている。「腹立つ女だな」「友達ってわけでは……なさそうね」「……すみません、わたくしはお先に失礼します」 セーラ姫は顔を隠し、そのまま席を立って酒場から出て行った。「お、おい……一人で帰って大丈夫か?」「かまわん。表に城の遣いを待機させてある」 今度は一同が女王へ視線を向けた。「女王様、姫の様子が可笑しかったようですが……」「あぁ。それにしても厄介なことになったな……」 女王もまた、怒りに震えているのか顔を強張らせている。「先ほどの女性は一体?」「隣国のさる貴族の一人娘、アーヤだ」「ご令嬢だったのか。いや、だからって先ほどのあの態度はないだろう。女王様も流石に黙っていられなかったんですか?」「仕方あるまい。彼女の家は、隣国でもとびきりの権力を持ち合わせている。父親の鶴の一声で、この国に戦争を仕掛けにくることも容易だ」「そうだったのですか……」「あのう、つかぬことをお尋ねしますが」ロッカが手を挙げて発言した。「先ほどあのご令嬢が『女王の養子になった』とおっしゃっていましたが、もしかして姫様って……」「あぁ、そうだ。彼女は……私の養子として迎え入れた」 それを聞いた途端、勇者一行は目を丸くして驚いた。「実の娘さんではなかったのですね」「そうだ。隣
「おかえり。遅かったね」「あぁ、うん。色々あって……」 誤魔化しにならない誤魔化しを呟いて、僕たちは元の座席に着いた。 どうやら夕島くんの歌がちょうど終わったタイミングのようだ。Mrs. GREEN APPLEのケセラセラを歌っていたみたいだけど、なんかイメージ通りすぎるチョイスで特に驚きはない。強いて言えば姫川さんがいないタイミングだったのは残念だったのか良かったのか。「それじゃ、次は私がいくわね」 須磨さんがマイクを手に取った。画面に映し出される曲名と共に、メロディーが流れ始める。 ――って、あれ? この曲って。「あ、これってゼロ執事のオープニングですよね」「そうそう! 姫川さん知ってるの!?」「はい、実は全巻揃えています!」「本当!? 良かったら一緒に歌おう!」「はい!」 姫川さんもマイクを手に取って、歌を歌い始めた。ちょうどデュエット系の曲だったので、上手いこと二人で息を合わせていっている。 僕もゼロ執事は見ている。大ファンというほどではないが、話は面白いし、女性のファンが多いけど男性でも純粋に楽しめる作品だ。 姫川さん、さっきアニメの曲が好きって言ってたっけ。だとしたら不思議じゃないけど、須磨さんもこういう作品好きなのかな? そんなことを考えながら、僕はコーラをチビチビと飲みながら二人の歌を聴いていた。二人ともかなり上手い。姫川さんはあまりカラオケには行かないって言っていたけど、綺麗な地声から形成される歌声が心地よく聞き入ってしまう。 しばらく彼女の歌を聴いていると、横から僕の腕をツンツンと突く感触がした。 ――なんだろう? 横を見ると、いつの間にか妃先生が隣に座っていた。 先生はスマホを覗き込みながら、何かを打っている。 みんなが歌に夢中になっている中、先生は画面をこっそりと見せてきて、『何かあったのか?』 ギクリ―― どうやら先生は姫川さんの様子に違和感を覚えたようだ。 従姉妹同士で付き合いの長い先生のことだ。下手に誤魔化すのは難しいだろう。 僕は観念して、自分のスマホを覗きながらメッセージを打ち込んだ。『さっき、姫川さんの知り合いらしき人と偶然会いました』 僕は見せると、先生は眉間に皺を寄せながら、またスマホを見せてきて、『どんな人だった?』『確か、れいじょうって名前の女子だったかと』 そ
話は今日の夜に遡る。 急遽企画された歓迎会は、結局学校付近にあるカラオケボックスに決まった。他の店だと高いし、予約も取れなかったから残当なチョイスだ。 で、そんなカラオケ店の個室に、僕たちは集められたわけで――「そんじゃ、みんなグラスは持ったな!」 意気揚々とドリンクバーのグラスを掲げる前守くん。 僕は彼等から少し離れて隅っこのほうに座ることにした。 正直、「なんで?」と思わざるを得ない状況なんだけど……「まだよ。早とちりしないの! 帰ってきてない人がいるでしょ!」「誰だよ、トロくさいのは!」「主役の姫川さんですけどぉ」「あっ……」 赤面して俯いてしまう前守くん。 確かに遅いけど、多分お花を摘みに行っているだけだろう。 それよりも、このメンバー……「思ったより集まらなかったね」「しゃーねぇだろ! みんな部活だとか塾だとかで忙しかったんだから!」「歓迎会ならもう少し日にちを決めてからでも良かったでしょ!」「うるせぇ! こういうのはな、鮮度が命なんだよッ!」「意味がわかんないんですけどぉ」 そういうわけで集まったのが、主役の姫川さんと主催の前守くん、そして夕島くんに、須磨さん、宗田さん。 それに加えて、僕―― 正直、居心地が悪い。黙ったままドリンクバーのメロンソーダをぶくぶくと泡立てても気付かれていない。 さらに、あと一人――「全く、もっと前もって言ってくれたら良い店を安く予約できたのだが……」「先生、こういうのは生徒の自主性を重んじてやるから意義があるんですよ」「適当なことぶっこいてんじゃないの!」「まぁいい。たまには生徒と行くカラオケというのも悪くはないな。よし、久しぶりに歌うか!」「お、先生結構歌う方ですか!?」「まぁな! 手始めにX JAPANあたりを……」「いいですね! 先生の歌、楽しみにしています!」 僕を除く男子二人と先生が、強烈に騒ぎ始めた。端末に歌を予約すると、メロディーが流れ始める。 しばらく僕たちは先生が歌うX JAPANの紅をただ聴いていた。イメージ通りというか、激しい曲を無駄に激しく歌う先生に感服している。「よっ! 先生サイコー!」「カッコいいです! 先生!」 そしてそれを盛り上げようとしている前守くんと夕島くん。まるでどこかの企業の接待だ。この二人は将来上手くやっていける
豁楢ソ惹シ壹→縺玖ィ縺」縺ヲ繧九¢縺ゥ螟ァ謚オ縺昴≧縺�≧縺ョ縺」縺ヲ繧ソ繝蜊倥↓驕翫�縺溘>縺�縺代�蜿」螳溘□繧医� 城下町の外れにある、古びた酒場。 日も大分落ち始めてきた頃、店内は任務を終えたばかりの冒険者たちで溢れかえる。そして、一杯、二杯と酒を飲み干していく度、彼等の喧噪が店内にこだまするのであった。 そんな店に、馴染みの顔と、まったく見知らぬ顔が同席していた。「この度はわたくしをこのような場にお招きいただきありがとうございます」「いえいえ、なんのなんの! ささ、狭くて汚いところですが、どうぞお座りください」「はい、では遠慮なく……わぁ!」 セーラ姫は目の前の山盛りの料理に目を輝かせていた。 決して綺麗とは言えない、木製のテーブル。乗っているのは山盛りの肉と、野菜のスープ。そして、ジョッキに注がれたビール。おおよそ彼女のような高貴な人物にはふさわしくない場所だ。「いいのかしら、お姫様をこんなところに呼んでしまって……」「いいじゃないですかぁ、大勢のほうが楽しいですよぉ」「そうじゃなくて!」「構いませんよ。わたくしこのようなお店は初めてで、寧ろ非常に嬉しいです。こんな料理も見たことがなくて……」「だろだろ!? この店はきたねぇけど料理と酒はウマいんだぜ」「はぁ、全く……」 呆れ気味にリコは頭を抱えていた。そして、ディオとロッカはそんなやり取りに苦笑いを浮かべていた。 事の発端は、女王との謁見の後。 どういうわけかディオはセーラ姫に別室に呼び出されたのだった。それも、他のパーティメンバーには秘密裏に。 怪しいと思ったルギーはこっそりと忍び込んで覗き見していた。が、すぐに城の衛兵に見つかって失敗に終わってしまったのだが。 ――やはり怪しい。 そう考えた彼は、思い切って今回の作戦を実行することにした。 名付けて、 『姫様と勇者様をカップリングさせよう 愛のキューピッド合コン成立計画』 要するに姫と勇者と一緒に一杯飲み明かし、互いの親睦を深めてしまおうという作戦だ。これを聞いたときのリコとロッカは目が点になったのは想像に難くない。「あのねぇ! そんな恐れ多いことできるわけないでしょ」「あ、でも意外といけるかも知れませんよぉ。さっき女王様は『もし頼み事があるならば遠慮なく言うが良い』っておっしゃっていましたし
縺雁ァォ讒倥′螳溘�蜍��→蜃コ莨壹▲縺ヲ縺�◆縺ィ縺九←縺薙�繝ゥ繝悶さ繝。縺�縺薙l繝吶ち繝吶ち縺吶℃縺ヲ荳画オ√§繧��縺�°「あ、貴方は……」 勇者ディオは目の前に現れた女性に思わず見とれてしまった。 髪の色と揃った、淡い桃色のドレス。空いた胸元には銀色のペンダントが光っている。「紹介しよう。私の娘、そして我が国の姫、セーラだ」「皆様、お初にお目に掛かります。そして、勇者様。先ほどは助けていただき、ありがとうございます」「話は姫から聞いているぞ、勇者よ。暴走した馬車を止めてくれたそうだな」「あ、その……いえ、大したことはしておりません。それに、まさか乗っていたのが姫様だったとは知らず……」「何をおっしゃるのですか。貴方は私にとって命の恩人です」 しばらくディオは姫様の目を見つめていた。 彼女の美しい瞳に、思わず吸い込まれてしまいそうになる。「えー、こほん」女王マリアは咳払いを挟み、「そういう話は後ほどするが良い。今はとりあえず、お前たちに褒美をやろう」「あ、はい。ありがとうございます」隍堤セ弱↑繧薙□縺代←菴輔′縺�>�滄≡縺九��縺九∝・ウ縺具シ滓ュヲ蝎ィ縺ィ縺九≠縺偵k縺ョ縺檎ュ九▲縺ヲ繧ゅs縺�縺代←繧ゅ▲縺ィ髱「逋ス縺�b縺ョ縺後≠縺」縺溘i縺薙■繧峨�螳帛�縺セ縺ァ縺企√j縺上□縺輔> ようやく話が進んだ。 相変わらず、大した内容ではないけど、新キャラの姫が登場させられたのは大きな収穫だったと思う。 それにしても、姫川さんか…… 僕は椅子を揺らしながら、彼女のことをふと思い出してしまう。「あれ、絶対夕島くんに一目惚れしているんだろうなぁ」 彼女と夕島くんが見つめ合っていた、あの時間―― 僕たちはずっと、その空気に呑まれてしまった。完全に二人の目はトロンと甘酸っぱい視線を交わしあっていた。「あー、えっと」先生は珍しく戸惑った様子で、「こほん。まぁその話の続きは後ほどやってくれ」「は、はい……すみません」 気恥ずかしそうに再び着席する夕島くん。チラチラと教壇のほうを見ては視線を逸らす仕草を続けている。「あ、そうだ。一応だが、これだけは断っておく。姫川は私の従姉妹だ」「あっ、そ、そうなんですか……」 なんていうか絶妙に微妙な関係だな。反応に困る。これが親子や姉妹だったら「全然似てないじゃん!